Shopifyの３種類のアプリ
Shopifyには主に三つの種類のアプリが存在します。
弊社の目的は、パブリックアプリを開発することなので、それについて調査します。
プライベートアプリ (Private Apps):
- これらは特定のShopifyストアに対してのみ利用可能で、主にそのストアのカスタマイズされたニーズに応じて開発されます。
- APIキーを通じてShopify APIにアクセスし、ストア固有のデータを操作します。
- Shopify App Storeを通じては公開されません。
パブリックアプリ (Public Apps):
- これらはShopify App Storeを通じて広く一般のShopifyストアオーナーに公開され、インストールが可能です。
- 認証はOAuthを使用し、広範囲のAPIアクセス権限を持ちます。
- セキュリティとユーザーエクスペリエンスの厳しい審査を受ける必要があります。
カスタムアプリ (Custom Apps):
- 特定のクライアントやビジネスニーズに合わせて開発され、一つまたは数個の特定のShopifyストアにインストールされます。
- プライベートアプリと同様にApp Storeを通じては公開されませんが、プライベートアプリよりも柔軟な管理が可能です。
- 主に開発者や企業が自社のクライアントに対して提供するために使用されます。
これらのアプリは、それぞれ異なる目的とユーザーのニーズに応じて設計されており、Shopifyエコシステム内で重要な役割を果たしています。プライベートアプリは内部または非公開の用途、カスタムアプリは特定クライアント向けのカスタマイズされたソリューション、パブリックアプリは広範なShopifyユーザー向けのソリューション提供のために存在します。
パブリックアプリでできること
パブリックアプリを利用することで、Shopifyストアオーナーは店舗運営の様々な側面を強化し、カスタマイズすることができます。パブリックアプリはShopify App Storeを通じて一般に公開され、すべてのShopifyユーザーがアクセスできるため、幅広いニーズに対応する機能が提供されます。以下はパブリックアプリで可能な主な機能です：
販売とマーケティングの強化
- マーケティングオートメーション：メールマーケティング、ソーシャルメディアキャンペーン、リターゲティング広告など、自動化されたマーケティング活動を実施。
- SEO最適化：ストアの検索エンジン最適化を改善し、オーガニックトラフィックを増やす。
- 割引とプロモーション管理：セールやクーポンコードの生成と管理を自動化。
顧客サービスの向上
- ライブチャットサポート：リアルタイムでの顧客サポートを提供。
- FAQセクションやヘルプデスク：顧客からの一般的な質問に対する迅速な回答を提供。
運営効率の向上
- 在庫管理：在庫レベルの追跡、自動再注文、供給業者との連携を支援。
- 注文処理：注文の自動化処理、出荷準備、トラッキング情報の更新。
- 会計と請求：販売データを会計ソフトウェアに自動的に同期。
サイトのカスタマイズ
- テーマカスタマイズツール：ビジュアルエディターやテンプレートを使用してサイトの見た目をカスタマイズ。
- カスタムレコメンデーションエンジン：顧客の購買履歴や閲覧行動に基づいて、パーソナライズされた商品推薦を提供。
分析とレポーティング
- 詳細な分析ツール：トラフィック、転換率、顧客行動などを詳細に分析。
- セールスレポート：売上の傾向、季節性、ROIなどの重要な指標をレポート化。
これらのアプリは、Shopifyプラットフォーム上でビジネスを運営する上で非常に有益なツールとなり、ストアの成長をサポートし、日々の運営をより効率的かつ効果的にすることが可能です。
パブリックアプリのしくみ
ShopifyのパブリックアプリはWordPressのプラグインとは異なり、独立したWebアプリケーションとして設計されています。これはいくつかの理由から利点がありますが、特に重要なのはセキュリティとスケーラビリティです。
独立したWebアプリとしての特徴
- 独立したホスティング: Shopifyアプリは開発者の選択したサーバーやクラウドプラットフォーム上で実行されます。これにより、リソースの管理や拡張が柔軟になり、大規模なトラフィックがあっても安定したサービス提供が可能です。
- APIを通じた連携: ShopifyアプリはShopifyのAPIを通じてストアと連携します。これにより、ストアのデータに安全にアクセスし、更新が可能になります。APIを使用することで、プラットフォーム全体のセキュリティ基準に沿って操作が行われ、データの整合性が保たれます。
- 独自のUI/UX: アプリは独自のユーザーインターフェイスを持つことができ、Shopifyの管理画面とは異なる体験を提供することも可能です。このため、よりリッチなインタラクションやカスタマイズが行えます。
- OAuth認証: ShopifyアプリはOAuthを利用して認証を行います。これは安全な認証方法であり、アプリがユーザーの許可なしにストアのデータにアクセスすることがないように保護します。
開発者にとっての利点
- 開発とテストの自由度: 独立したアプリとして開発することで、開発者はローカル環境やステージングサーバーで自由にテストを行うことができます。
- 多様な技術スタックの利用: Shopifyアプリでは、Node.js、Ruby on Rails、Pythonなど、さまざまなバックエンド技術を自由に選択して使用できます。
- 拡張性とメンテナンス: アプリが独立しているため、スケールアップやメンテナンスが容易になり、必要に応じてリソースを追加することが可能です。
このように、Shopifyのパブリックアプリは、単なる機能追加ツールではなく、高度にカスタマイズ可能で、独自のビジネスロジックを持った完全なウェブアプリケーションとして機能します。このアプローチにより、Shopifyストアオーナーは多様なニーズに合わせたソリューションを利用することができます。
使用できる主な技術
Shopifyのパブリックアプリは独立したウェブアプリケーションとして構築されるため、Shopifyプラットフォームの基本的な制約に縛られることなく、開発者は自由にアプリを設計、開発することができます。これには以下のような自由度が含まれます：
技術スタックの選択:
- アプリのバックエンドにNode.js、Ruby on Rails、Pythonなど、任意のプログラミング言語やフレームワークを使用できます。これにより、既存の技術スキルやチームの専門知識に最適な選択が可能です。
ユーザーインターフェイスとユーザーエクスペリエンス:
- フロントエンドはReact、Vue.js、Angularなど、任意のJavaScriptフレームワークを使用して開発できます。また、ShopifyのPolarisデザインシステムを利用することも、完全に独自のデザインを作成することも可能です。
データベースとインフラストラクチャ:
- アプリのデータストレージには、PostgreSQL、MySQL、MongoDBなど、適切なデータベース技術を自由に選択できます。また、アプリはAWS、Google Cloud、Azureなどのクラウドプロバイダー上にホスティングできます。
APIの利用と統合:
- Shopify APIを活用しつつ、他の外部APIやサービスとの統合も可能です。これにより、アプリはShopifyストアデータを豊富な外部データやサービスと組み合わせて利用できます。
セキュリティと認証:
- アプリはOAuthを使用してShopifyストアと安全に認証され、アプリとユーザーのデータ保護のためにHTTPS、データ暗号化、安全な認証トークン管理などの最新のセキュリティプラクティスを導入できます。
これらの自由度により、Shopifyアプリ開発者はビジネスのニーズに合わせた高度にカスタマイズされたソリューションを作成できます。それぞれのアプリは独立したエンティティとして存在し、Shopifyのエコシステム内で機能する一方で、独自のロジックや機能を持つことができます。この柔軟性がShopifyアプリを非常に強力なツールにしています。
Shopifyアプリの制約
Shopifyアプリ開発時には、いくつかの制約や制限が存在します。これらは主にプラットフォームの仕様、セキュリティ要件、そしてAPIの利用制限によるものです。以下はShopifyアプリの開発における主要な制約です：
APIレートリミット
- Shopify APIはリクエストに対してレートリミットを設けています。これは、短時間に大量のデータを処理するアプリがシステムに過度の負荷をかけることを防ぐためです。レートリミットに達すると、一時的にAPIアクセスが制限され、アプリのパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
アプリ審査プロセス
- Shopify App Storeにアプリを公開する場合、厳格な審査プロセスを通過する必要があります。このプロセスでは、アプリのセキュリティ、機能性、ユーザーエクスペリエンス、ドキュメントの品質などが評価されます。準備が不十分なアプリは公開が拒否されることがあります。
セキュリティとデータプライバシーの要件
- Shopifyプラットフォームは、特に個人情報や支払い情報の取り扱いにおいて、高いセキュリティ基準を要求します。アプリはPCI DSSなどの業界標準に準拠している必要があり、常にデータの暗号化、安全なデータ保存、そして適切なアクセス制御が求められます。
プラットフォームの制約
- Shopifyアプリは、Shopifyプラットフォームの機能と密接に結びついています。したがって、プラットフォーム自体の制限（例えば、カスタムオブジェクトの作成の制限や特定のビジネスロジックのカスタマイズの制約）は、アプリの機能にも影響を与えます。
アプリ間の互換性
- 複数のアプリが同時にインストールされている場合、それぞれのアプリ間での競合や不具合が発生することがあります。アプリ開発者は、他のアプリとの互換性を考慮し、影響を最小限に抑えるように設計する必要があります。
ユーザーインターフェースの一貫性
- Shopifyは、ストア管理画面のユーザーエクスペリエンスを一貫させるために、Polarisというデザインシステムを提供しています。アプリ開発者は、このデザインガイドラインに沿ってUIを設計することが推奨されており、これに従わない場合、アプリの承認が影響を受ける可能性があります。
これらの制約により、アプリ開発の自由度には一定の限界がありますが、これは同時にプラットフォーム全体の安定性とセキュリティを保つために必要な措置です。
Shopify APIとは
Shopify APIは、開発者がShopifyプラットフォームのデータを操作し、カスタマイズされた機能をストアに追加するための強力なツールを提供します。APIは大きく分けてREST APIとGraphQL APIの二種類があります。それぞれのAPIは異なる機能とデータセットにアクセスするために設計されており、用途に応じて選択することができます。
Shopify REST API
REST APIはリソース指向で、HTTPリクエストを通じてデータにアクセスし、操作することができます。以下はShopify REST APIの主要な用途の一部です：
- 商品と在庫: 商品情報の取得、更新、削除を行うことができます。在庫レベルの管理も含まれます。
- 注文と出荷: 注文の作成、更新、取得を行い、出荷プロセスを管理します。
- 顧客管理: 顧客情報の取得、更新、顧客グループの管理が可能です。
- 財務情報: 売上、請求、返金などの財務情報を管理できます。
- ディスカウントとクーポン: プロモーションや割引の設定と管理を行います。
Shopify GraphQL API
GraphQL APIは、より効率的なデータ取得が可能なAPIで、開発者が必要なデータのみを指定して取得できるように設計されています。REST APIと比較してデータのオーバーフェッチやアンダーフェッチを防ぐことができ、特に複雑なデータの統合や大規模なアプリケーションに適しています。主な特徴は以下の通りです：
- データ取得の柔軟性: 必要なデータフィールドのみをリクエストでき、効率的なデータ取得が可能です。
- リアルタイムのデータ更新: サブスクリプションを使用して、リアルタイムでデータの変更を受け取ることができます。
- カスタマイズ可能なクエリ: 複数のリソースからデータを一度のリクエストで取得する複合クエリが作成できます。
使用例
- マルチチャネル販売: Shopify APIを利用して、店舗、オンライン、ソーシャルメディアなど複数の販売チャネルを一元管理します。
- アプリ連携: 会計ソフトウェア、CRM、マーケティングツールなど、他のビジネスツールとの連携を実現します。
- カスタマイズされたショッピング体験: カスタマイズされたレコメンデーション、特別な割引など、顧客個々に合わせたショッピング体験を提供します。
Shopify APIはこれらの機能によって、ストアの機能を拡張し、顧客体験を向上させることが可能です。APIの詳細なドキュメントはShopifyの開発者ポータルで提供されており、APIの使用方法やベストプラクティスについて学ぶことができます。
人気のShopifyアプリ
Shopifyストアの運営を効率化し、売上を増やすために人気のあるShopifyアプリは多岐にわたります。以下に、Shopifyストアオーナーに広く利用されているいくつかの人気アプリを紹介します。これらのアプリは、マーケティング、顧客サービス、在庫管理、SEO最適化など、さまざまな機能を提供しています。
Oberlo
- 機能: Oberloはドロップシッピングビジネスをサポートするアプリで、AliExpressから製品を簡単にインポートし、自動的に在庫と価格を同期させることができます。
- 利用シーン: ドロップシッピングモデルを利用している店舗での製品管理と注文処理の自動化。
Klaviyo
- 機能: Klaviyoは強力なメールマーケティングおよびSMSマーケティングツールで、セグメント化されたキャンペーンの作成、顧客の行動に基づいたパーソナライズされたコミュニケーションが可能です。
- 利用シーン: 顧客エンゲージメントを高め、リピート購入を促進するためのマーケティング自動化。
Shopify POS
- 機能: Shopify POS（Point of Sale）は、オフラインの実店舗とオンラインストアの在庫を統合し、一元管理することができます。
- 利用シーン: 物理店舗とオンラインストアの両方を運営しているビジネスでの販売と在庫管理。
Yotpo
- 機能: Yotpoは顧客からのレビューや写真の収集、社会的証明の表示を通じて信頼性とコンバージョンを向上させるアプリです。
- 利用シーン: 商品のレビュー収集と表示を自動化し、購入意欲の向上を図る。
SEO Manager
- 機能: SEO ManagerはサイトのSEO最適化を支援し、キーワード分析、Googleのインデックスリクエスト、サイトスピードのテストなどを提供します。
- 利用シーン: オーガニック検索からのトラフィックを増加させ、SEOランキングを向上させるため。
Printful
- 機能: Printfulはオンデマンドで製品を印刷・発送するサービスを提供するアプリで、在庫を持つことなく商品を販売できます。
- 利用シーン: カスタムプリント商品の販売、在庫リスクなしで新しい商品ラインをテスト。
これらのアプリはそれぞれ異なるニーズに応じて選ばれ、Shopifyストアの成長をサポートし、運営をスムーズにするために設計されています。選ぶ際には自分のビジネスモデルや具体的な要件に最適なものを選ぶことが重要です。