以下のYコンビネーターのグループパートナーのグスタフ氏のスピーチのポイントを箇条書きにします。
- 「スケールしないことを行う」マインドセットが非常に重要:
- 初期スタートアップにおいて「スケールしないことを行う」というのは、顧客と密接に連携しながら製品を開発し、手動で顧客を獲得していくプロセスを意味します。ポール・グラハムによる「スケールしないことをする」というエッセイが、この考え方を最もよく説明しています。特にAirbnbの初期の事例が引用されています。
- スピーチの中で、スタートアップが自動的に成功するわけではなく、創業者が積極的に関与して顧客を獲得し、製品を改善していくことが成功に不可欠であると強調されています。また、広告を使うだけでは不十分で、創業者が直接販売を行うことの重要性が語られています。成功するスタートアップは、市場のニーズに応じて迅速に製品を改善し続けることが求められます。このプロセスは「スタートアップ曲線」によって視覚化されており、多くのスタートアップが経験する成長の段階が説明されています。
- 創業者が販売に関わることが重要:
- スタートアップの創業者は、効果的な販売方法を学ぶべきです。なぜなら、製品の販売を通じて顧客のニーズを深く理解することができるからです。創業者自身が最初に販売活動を行うことで、何が顧客にとって価値があるのかを直接的に把握し、製品を改善することが可能になります。また、創業者が自ら販売プロセスを経験することは、スタートアップが成長する過程で必要なスキルと自信を培う助けとなります。
- 最初の顧客を獲得するプロセスを、Brexの例を用いてステップごとに説明します:
- ステップ1: 最小限の製品の構築
- Brexの創業者ペドロとヘンリケは、他のスタートアップにとって有用な最小限の製品(MVP)を定義しました。初期の製品は非常にシンプルで、バーチャルクレジットカードだけを提供していました。
- ステップ2: 直接顧客にアプローチ
- 彼らはYCのバッチに参加していた他のスタートアップを初期顧客としてターゲットにしました。YCバッチという環境を利用して、他のスタートアップ創業者たちに直接アプローチしました。
- ステップ3: アクティブな顧客オンボーディング
- Brexの共同創業者であるヘンリケ自らが、初期の顧客それぞれを個別にオンボーディングしました。この積極的な顧客対応が、製品の即時のフィードバックと改善に繋がりました。
- ステップ4: 顧客フィードバックの収集と製品改善
- 初期の顧客からのフィードバックを元に、彼らは製品を迅速に改善しました。初期のバーチャルカードから始め、顧客のニーズに応じて物理的なカードなどの機能を追加しました。
- ステップ5: 限定的なベータ版の提供
- Brexは、冬のバッチの友人向けにベータ版を開放し、「10枠のみ」という限定感を出すことで、より多くの関心を引くことができました。このメールキャンペーンは、彼らの製品がスタートアップにとってどれほど魅力的であるかを強調しました。
- ステップ6: セールスとマーケティング戦略の精緻化
- 初期のオファリングと顧客とのやり取りを基に、Brexはセールスとマーケティング戦略をさらに磨き上げ、スタートアップ向けの魅力的な価値提案を固めました。
- ステップ1: 最小限の製品の構築
- 効果的なセールスメールの書き方
- これらのポイントに従ってセールスメールを作成することで、受け手にとって魅力的かつ説得力のあるコミュニケーションを実現し、製品への興味を引き出すことができます。
- 短さを保つ:
- メールは最大で6〜8文程度に抑える。読者は長文を読む時間がないため、簡潔にすることが重要です。
- 明確な言葉遣い:
- 専門用語や業界用語を避け、製品が何をするのか、どのように機能するのかをはっきりと伝えます。
- 顧客の問題に対処する:
- 可能な顧客が抱える問題を明確にして、それにどのように対応するかを示します。
- HTMLフォーマットを使用しない:
- メールはプレーンテキストで書き、友人に書くように自然体でありながらも専門的な内容を含むようにします。
- ソーシャルプルーフの利用:
- 自分やチームがなぜ印象的なのかを述べ、社会的証明(過去の成功例や関連する経験)を含めることで、専門性や信頼性を示します。
- ウェブサイトへのリンクを含める:
- シンプルで製品情報が明記されたウェブサイトへのリンクを提供。ウェブサイトは製品のスクリーンショットや主要機能の箇条書きを含むべきです。
- 短いビデオやGIFの使用:
- 製品のポイントを迅速に伝えることができる短いビデオやGIFをメールに埋め込むことが有効ですが、受け手が見る時間は限られているため、内容は短くし要点を押さえる必要があります。
- アクションを促す呼びかけを含める:
- 電話やミーティングの設定、または自社製品を試用してもらうための呼びかけを含めることで、具体的な次のステップへと誘導します。
- 短さを保つ:
- これらのポイントに従ってセールスメールを作成することで、受け手にとって魅力的かつ説得力のあるコミュニケーションを実現し、製品への興味を引き出すことができます。
- セールスファネル
- セールスファネルの概念は非常にシンプルですが、セールス用語によって混乱することもあります。以下は、セールスファネルを構築するための主要ステップです:
- 顧客リストの作成:
- 目標となる顧客のリストを作成します。これはプロスペクティングまたはリード生成と呼ばれますが、Googleスプレッドシートを使って簡単にリストを作ることができます。
- 初期コンタクトの実施:
- リストに載せた人々にメールやLinkedInメッセージを送り、適切な方法で彼らに接触します。
- デモやミーティングのスケジュール:
- メールへの返信を受けてデモやミーティングを計画し実施します。
- 価格の提示とクロージング:
- 製品の価格について話し合い、最終的に顧客として成約させます。
- オンボーディングの実施:
- 顧客が製品を実際に使用し始めるようにするためのオンボーディングプロセスを行います。このステップを怠ると、顧客が製品の使い方を理解できずに離れてしまうことがあります。
- 顧客リストの作成:
- CRMソフトウェアを活用して、業界、会社名、役職、名前、メールアドレス、LinkedInなどの情報を管理することも有効です。初期の顧客は獲得が最も容易な顧客から始め、最も成約しやすい見込み客を優先的に追求することが推奨されます。また、アウトリーチの際には早期採用者を狙って多くのアウトバウンドメッセージを送ることが重要です。
- 最終的に、セールスプロセスをできるだけ簡単にするために、既存のネットワークを活用し、スタートアップや決裁ラインが短い会社をターゲットにすることが効果的です。セールスにおいては、価格設定に対する恐れを乗り越え、顧客からの実際の価値認識としての支払いを確保することが不可欠です。
- セールスファネルの概念は非常にシンプルですが、セールス用語によって混乱することもあります。以下は、セールスファネルを構築するための主要ステップです:
- 価格設定
- 製品の無料提供や無料トライアル、未払いのパイロットテストは魅力的に思えるかもしれませんが、顧客が実際に支払いを行わなければ、彼らは真の顧客ではなく、あなたのビジネスも成立しません。顧客がお金を支払うことは、提供している製品やサービスに実際の価値がある証拠です。したがって、価格設定に関する恐れを克服し、適切な価格を見極めることが重要です。支払いを拒否する顧客は適切な顧客ではないため、別の顧客に移るべきです。
- B2B市場においては、無料トライアルよりも返金保証の方が効果的です。製品に満足できなければ、30日間または60日間で全額返金するオプションを提供することで、顧客の信頼を得ることができます。また、年間契約からのオプトアウトを可能にすることで、顧客は月払いのみのコミットメントでサービスを試すことができます。
- 最終的には、顧客が不満を述べつつも依然として支払いを続けるまで価格を上げるのが望ましい戦略です。このアプローチにより、製品の価値を最大限に引き出し、ビジネスの成長を促進することができます。
- セールスファネルを逆算した計画
- この説明では、多くの創業者が間違えやすいセールスファネルとアウトリーチ戦略について解説しています。創業者はセールスファネルを逆算して計画する必要があり、各ステップでどの程度のドロップオフ(顧客離脱)があるかを理解することが重要です。例えば、500件のアウトリーチメールを送信して、最終的に2件の顧客獲得につながるかもしれないというシナリオが示されています。
- セールス成功の鍵は、データの追跡と分析にあります。CRMソフトウェアを使用して、開封率や反応率、デモの転換率などを自動的に追跡し、これらのデータに基づいて戦略を調整することが推奨されています。また、十分な量のアウトリーチを行うことが強調されており、少ない数のアウトリーチでは適切なデータが得られず、セールスがうまくいかないと誤解するリスクがあると指摘されています。
- さらに、初期の顧客獲得は「やりすぎないこと」が肝心で、手の届きやすい顧客から始めるべきだとアドバイスされています。無料トライアルやリファラルよりも、返金保証の提供がB2Bセールスにおいては有効とされています。最終的には、創業者がセールスの実務に携わり、初期段階から顧客と直接関わることが、製品改善と顧客基盤の拡大につながると結論付けられています。